天宝三載(754)五均十三調


■唐会要(とうかいよう)

「唐会要」とは唐王朝の諸制度の沿革を項目別に記された書で、北宋代の王溥によって編纂されました。玄宗の治世である天宝十三載(754年)の太楽署調名確立公布の下りには、十四の調と諸楽曲が記されています。

唐・天宝十三載「太楽署供奉曲名及改諸楽名」(諸曲名は略)

天宝十三載七月十日。太楽署供奉曲名及改諸楽名。
太簇宮。時号沙陀調。太簇商。時号大食調。太簇羽。時号般渉調。太簇角。
林鐘宮。時号道調。林鐘商。時号小食調。林鐘羽。時号平調。林鐘角。
黄鐘宮。黄鐘羽。時号黄鐘調黄鐘商。時号越調。仲絽商。時号雙調
南呂商。時号水調。金風調。
(『唐会要』巻33 「諸楽」より抜粋して引用)

十四調の内、金風調の均と調に関しては記述が無く不明です。そのため調性(均と調)が記されているのは、計十三調となっています。



■天宝三載(754)の五均十三調

唐の玄宗の天宝十三載(754)に制定された「太楽署供奉曲名及改諸楽名」には、五均十三調と諸楽曲名が記されていますが、これらはすでに林謙三氏や岸辺成雄氏の先行研究※3 によって、日本の唐楽の諸調子との対応関係が明らかにされています。


▼天宝三載の五均十三調と、日本の唐楽・高麗楽諸調子の対応表
調時号日本調名第1音第2音第3音第4音第5音第6音第7音
黄鐘均宮調C D E F♯ G A B
商調越調壱越調DEF♯GABC
羽調黄鐘調黄鐘調
高麗双調
A B C D E F♯ G
太簇均宮調沙陀調沙陀調D E F♯ G♯ A B C♯
商調大食調太食調E F♯ G♯ A B C♯ D
角調角調
高麗平調
F G G♯ A♯ C C♯ D♯
羽調般渉調盤渉調BC♯DEF♯G♯A
仲呂均商調雙調双調GABCDEF
林鐘均宮調道調道調G A B C♯ D E F♯
商調小食調乞食調※1A B C♯ D E F♯ G
角調B C♯DEF♯
羽調平調平調
高麗壱越調
E F♯ G A B C♯ D
南呂均商調水調水調※2BC♯D♯EF♯G♯A

注釈)
※1...平安時代には太食調の枝調子とされていたが、実際は太簇均商調(太食調)に移されている。
※2...平安時代には黄鐘調の枝調子であったが、実際には林鐘均商調に移されている。
※3...(『日本の古典芸能 第二巻 雅楽』所収「雅楽の源流」「雅楽の伝統」平凡社1970年)
※4...時号とは中国唐代で「時ニ号ス」とされたもので、通称であった。

参考文献
(『隋書』(影印本)汲古書院 1973)
(『雅楽を知る辞典』遠藤徹 株式会社東京堂出版 2013)
(『雅楽』日本の古典芸能2 藝能史研究会 1981)
(明土真也 『六孔尺八と八十四調の関係』音楽学第62巻1号 2016)