江戸元禄期の三方楽所の楽家一覧です(家禄扶持米は慶安年間時)。
「天王寺方」・「南都方(南都右方人、南都寺侍)」・「京都方」別に整理してます。
楽所別 | 扶持米 (江戸期) | 家名 | 家紋 | 主家業 | 本姓 (姓) | ||||
天王寺方 | 12家/85石 ※16 | 岡 | 薺六葉 | 笙・右舞 | 太秦 (宿禰) | ||||
薗 | 三頭巴 | 笙・左舞 | 太秦 (宿禰) | ||||||
東儀 | 蔦 | 篳篥・右舞 (又は左舞・笛) | 太秦 (宿禰) | ||||||
東儀 | 蔦 | 神楽の篳篥 | 安倍 (朝臣) | ||||||
林 | 下り藤 | 笙・右舞 | 太秦 (宿禰) | ||||||
南都方 | 9家/70石 ※17 | 上 ※1 | 襄荷丸 | 笛・左舞 | 狛 (宿禰) | ||||
辻 | 引違 | 笙・左舞 ※12 | 狛 (宿禰) | ||||||
奥 | 襄荷丸 | 笛・左舞 | 狛 (宿禰) | ||||||
窪 | 栢丸・木瓜 | 篳篥・左舞 | 狛 (宿禰) | ||||||
久保 | 栢丸・木瓜 | 篳篥・左舞 | 狛 (宿禰) | ||||||
芝 | 下り藤 | 笛・左舞 | 藤原 (朝臣) | ||||||
東 | 三引龍 | 笙・左舞 | 狛 (宿禰) | ||||||
西 ※19 | 篳篥・左舞 ※3 | 狛 (宿禰) | |||||||
南都右方人 | 中 ※13 | 篠円 | 笙・右舞 | 大神 (宿禰) | |||||
喜多 ※7 (北)? | 栢円 | 篳篥・右舞 | 大神 (宿禰) | ||||||
西京 ※9 | 鳩酸草 | 笛・右舞 | 大神 (宿禰) | ||||||
井上 ※10 | 鳩酸草 | 笛・右舞 | 大神 (宿禰) | ||||||
乾 ※8 | 右舞 | 大神 (宿禰) | |||||||
新 ※11 | 右舞 | 大神 (宿禰) | |||||||
南都寺侍 | 藤井 | 打物・右舞 (案摩/二ノ舞) | 玉手 - | ||||||
後藤 | 打物・右舞 (案摩/二ノ舞) | 玉手 - | |||||||
京都方 | 17家/50石 ※18 | 安倍 | 楓・桃 ※2 | 篳篥 | 安倍 (朝臣) | ||||
山井 | 右重鷹羽 | 笛・舞 | 大神 (宿禰) | ||||||
多 ※14 | 鳩酸草 (嫡流) | 神楽歌・右舞 | 多 (朝臣) | ||||||
剣鳩酸草・割桜 (中流)※15 | |||||||||
豊 | 一襖藤円 | 笙 | 豊原 (朝臣) |
註)
表は「楽家録」「地下家伝」・「日本雅楽相承系譜(楽家篇)-平出久雄-」・「雅楽通解(楽史編)-芝祐秦-」・「家元の研究 -西山松之助-(校倉書房)」を参考に、筆者の取捨にて記しています。
※1...狛嫡流。野田流(のだのりゅう)という。名乗通字は「近」。
※2...辻子流(つじこのりゅう)という。後「辻」と称す。名乗通字は「近」。家業は古くは「笛」もあった。
※3...笙も兼ねる流れがあった。絶家。
※4...元は芝崎、のち芝と称す。江戸期、直葛の代に姓を藤原、尸を朝臣と称することを許された。名乗通字は「葛」で、長男は上に、他は下につける。
※5...「久保」に対して一字窪と俗称、名乗通字は「光」・「近」。
※6...二次久保と俗称。名乗通字は「光」・「近」。
※7...「中」の分家。名乗通字は「是」「行」など。なお「楽家録」、「家元の研究 -西山松之助-(校倉書房)」には「北氏」の記載があるが、中氏の分家、名乗通字、家紋、家業の同一から、筆者は「喜多」「北」は同家と考えている。
※8...中の分家。名乗通字は「行」
※9...喜多の分家。名乗通字は「秀」「行」。
※10...喜多の分家。名乗通字は「行」。
※11...乾の分家。名残通字は「行」。
※12...主家業に古くは笙も。
※13...大神姓嫡流。狛氏神氷室神社神主。名乗通字は「行」。近世は「晴」「秀」など。
※14...名乗通字は、嫡流は「忠」、中流は「久」。
※15...「中流」とは雅楽会で慣用語として用いられた「庶流」の意。
※16...平均一家7,08石
※17...平均一家7,89石
※18...(信長旧領を計入すれば95石)平均一家5,06石
※19...平安後期に楽家として存在し、鎌倉初期頃に絶家となる。「日本雅楽相承系譜」より。