長調での主要和音と終止形


-長調-
-短調-
主要和音
代理和音
主要和音
代理和音
特殊和音

I

I6

IM7

VIm7

IIIm7

Im

Im6

Im7

ImM7

VIm(♭5)

♭VI(♭VI M7)

♭III(♭III6 ♭IIIM7)

IV7

SD

IV

IV6

IVM7

IIm7

VIm7※

IVm

IVm6

IVm7



IIm7(♭5)

♭VI(♭VI6 ♭VIM7)

♭VII7

IV(7)

IIm7

SDM

IVm

IVm6

IVm7

IVmM7

IIm7(♭5)

♭VI(♭VI6 ♭VIM7)

♭VI7

V7 VII7(♭5)※ V7 VIIdim(7)※ Vm(7)
※あまり活用されないコード






■長調での主要和音

7種あるダイアトニックコードはさまざまな意味合いで使用されますが、このうち特い重要な役割(機能)を持つコードが以下の主要和音と呼ばれるものです。

●トニック・コード(主和音)<Tonic Chord>

I 、 IM7 、 I6 トニック(音階の第一音)上に構成されるコードで、長三和音( I )を代表とし、そのほか、長7度または、長6度の付加された四和音(IM7、 I6)も含まれ、「T」の略号で表されます。

●ドミナントコード(属和音)<Dominant Chord>

V7 ドミナント音階上の(第5音)上に更正される四和音(V7)で、正確にはドミナント7thコード(属7和音<Dominant 7th Chord>ですが、略してドミナントコードと呼ばれ、「D」の略号で表されます。ドミナントコードに限り三和音(V)はあまり使用されません。

●サブドミナントコード(下属和音)<Subdominant Chord>

IV 、 IVM7、 IV6 サブドミナント(音階の第4音)上に構成されるコードで、トニックコードと同様、長三和音(IV)を代表とし、そのほか、長7度または長6度の付加された四和音(IVM7、IV6)が加えられます。一般的な記号は「S」ですが、当サイトでは「SD」で表記しています。 以上の3種の主要和音が調性(トーナリティ)の確立の為にそれぞれの機能を発揮しています。




■代理和音

主要和音(I、IV、V7)以外のコード(IIm7、IIIm7、VIm7、VIIm7(♭))の機能は3種類の主要和音との構成音の共通性や類似性によって代理和音として使用されます。

●構成音の共通性(主要和音との異名同音)

ダイアトニックコードには、次い2種の異名同音があります。

@VIm7=I6(トニックコード)
AIIm7=IV6(サブドミナントコード)

このような異名同音の関係によってVIm7はトニックコードの、そしてIIm7はサブドミナントコードの代理和音として活用されます。

●構成音の類似性(テンションを含む主要和音のルート音省略形)

残るIIIm7とVIIm7(♭)については次のような類似性がみられます。

@IIIm7=IM7・9(トニックコード)のルート音省略形
AVIIm7(♭)=V7・9(ドミナントコード)のルート音省略形

どちらのコードも、9thの加えられた五和音による主要和音からルート音を省略した四和音に相当するため、IIIm7はトニックコードの、VIIm7(♭)はドミナントコードの代理和音になります。ただし実際には、トニックコードとしてIIIm7がよく活用されるのに対して、ドミナントコードとしてのVIIm7(♭)の使用はV7・9の第一転回系として表されます。

■終止形

曲の終わりや、フレーズの大きな段落などで、和音の流れによって終わりを形作ること(終止感を持って終わる形になること)を終止形(ケーデンス)といいます。終止形は長調と短調にそれぞれあり、またいくつか種類があります。3種の主要和音のうち調の中心となるのはトニックコードで、ドミナントコードとサブドミナントコードは、トニックコードへ結びついて次のような終止形(ケーデンス)とこれに関連したコード進行を構成し、調性を確立します。

@ドミナント終止(D-T<Dominant Cadence>)

V7からI(IM7、I6)への終止形で最もポピュラーな進行です。これは大きな段落の終わりに用いられます。

Aサブドミナント終止(SD-T<Subdominant Cadence>)

IV (IVM7、IV6) から I (IM7、I6)へのポピュラーな終止形で、これは一般的にアーメン終止とも呼ばれています。

Bドミナントコードの準備(SD-D)

IV (IVM7、IV6)はAの終止形を構成するほか、ドミナントコードを準備する役割をもっています。ちなみにこの進行は終止形ではないのですが、このあとドミナント終止(@)につながります。

●異終止

ドミナント終止(V7-I)でのトニックコードに代理和音を応用した進行を異終止といい、次の2種類があります。

@V7-IIIm7(D-{T})
AV7-VIm7(D−{T})
{}=代理和音を示しています。

IM7系の代理となるIIIm7とI6系のダリとなるVIm7とを応用したものですが、ともに本格的なドミナント終止とは区別されており、異終止によって楽曲を完全に終了させることはできません。 このうち@でのベースラインは、短7度を経由してIIIm7のルートへ半音下行するのが通例です。

●トゥー・ファイブ

サブドミナントコードとドミナントコードの連結(IV-V7)での、サブドミナントコードに代理和音(IIm7)を応用したもので、長音階上の2度と5度上のコードとを組み合わせた進行ということから、名前がきてます。 特にジャズ系では必須です。 IIm7-V7({SD}−D)