雅楽音階の音程と階名


●音程と階名 再び鍵盤のイメージで、音程を考えてみます。以下は雅楽律(古律)を用いています。

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図は端から端まで丁度1オクターブありますが、白鍵・黒鍵の数を数えてみると、古代中国の場合でもポピュラー音楽と同じく12個の音を用いていたことが解ります。
音程とは音と音の幅や関係を表すものです。隣り合った音の幅(音程)を洋楽では半音といいました。雅楽では半音を表す名称は特にありませんが、便宜上「半音」の名称を用います。 12個の音はこの半音を最小単位として構成されていることが、解ります。

ポピュラー音楽で理解した「音程」と「階名」を、雅楽に当てはめて考えてみましょう。 古代中国より渡来した階名は、古楽書や文献等によって諸説ありますが、ルートを「宮」、長二度を「商」、完全五度を「徴」と表すことは、どの文献も概ね一致しています。 ここでの表記は「梁塵秘抄」(後白河法皇 編)を参考にしています。

例えば無射をルート(基音)とした場合、「無射」自体の階名を古代の中国では「宮」と呼びました。 「黄鐘」を基音とした場合、は「黄鐘」が「宮」となり、「林鐘」を基音とした場合は、当然「林鐘」が「宮」となります。 すなわち「宮」とは基音そのもののことです。

鍵盤図を見ると、「黄鐘」の白鍵と隣の白鍵「太簇」とは全音の音程差があります。この時の音程を度数で表すと、長二度となるのですが、この二音の音程の関係を、古代中国では「商」という階名で呼びました。

次に「黄鐘」から「姑洗」を見た場合ですが、最初単位の半音が計4つあることが解ります。この場合の音程は長三度となり、この二音の音程の関係を、さらに同じく古代中国では「角」という階名で呼びました。

今度は「黄鐘」から「蕤賓」の音程ですが、これは増四度つとなっています。この二音の音程の関係を、古代中国では「変徴」という階名で呼びました。

そして「黄鐘」から「林鐘」の場合ですが、これは完全五度となっています。この二音の音程の関係を、古代中国では「徴」という階名で呼びました。

さらに「黄鐘」から「南呂」の場合の音程は長6度で「羽」、「應鐘」の場合は長七度で「変宮」という階名をやはり古代中国では呼びました。 以上まとめると、以下のようになります。




▼十二律と雅楽の階名
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話をポピュラー音楽のに移します。Cメジャースケールを音階と階名を表記すると ・C・D・E・F・G・A・B・・・でしたね。 音程の構成で表してみると ・ルート・長2度・長3度・完全4度・完全5度・長6度・長7度・・・となりますね。 これを強引に雅楽版にあてはめてみると、次のようになります。


□Cメジャースケールの音名 ・黄鐘・太簇・姑洗・仲呂・林鐘・南呂・應鐘・・・

□Cメジャースケールの階名(音程の構成) ・宮・商・呂角・律角・徴・羽・変宮・・・

ポピュラー音楽では音階と階名は同じ名称ですが、雅楽では名称の区別があるわけです。

雅楽の音階は、ポピュラー音楽の音階(メジャー・マイナーの各スケール)の構成とは違っています。上記の記述はあくまでも、雅楽の階名を理解するための便宜上の記載です。