●十二律
おん‐りつ【音律】
1 楽音の調子。また、音楽。 2 音の高さの相対的な関係を整理した体系。純正調・平均律など。
(「大辞泉」 小学館)
音律とはオクターブ内の音を区別するもので十二の音律があり、またオクターブ離れた音は同じ音名で呼びます。三分損益法では、オクターブ内に十二の音律を求めることが出来ます。中国周代では既に西洋のドレミのように、十二音律のそれぞれには名称が付けられていました。
古代中国より十二律を輸入した日本では、奈良時代までは唐風で呼んでいたようですが、唐代の調名などから影響を受けながら平安期以降は、和風の名称が付けられました。以下に日本で用いられている十二音律名と、古代中国の十二音律名を記します。
なお、古代中国では時代によって音律の絶対音高が変化しました。盛唐代には「唐古律」(古律)が用いられていましたが、時代が下ると「俗楽律」(新律)が用いられました。唐古律・俗楽律ともに、音律のそれぞれの名称は変わりませんが、基本音律において唐古律が俗楽律より長二度低くなっています。下図表には日本の十二律名称に加えて、唐古律と俗楽律の両方を併記しています。
▼音名と十二律名称
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※楽家録など日本の古楽書の多くは、俗楽律を用いて記されている。唐古律が用いられている資料としては「三五要録」や「新撰楽譜」等がる。また先行研究においては、芝祐泰氏は俗楽律で論述しているが(「雅楽通解」等)、林健三氏や岸辺成雄氏等の考察は、唐古律を元にしている。
上記表で記した音律名を、西洋音楽の音名と合わせて見てみます。雅楽の楽器には12の音を明確に発声させる楽器がないため、洋楽器の鍵盤のイメージを用いて表してみます。
▼鍵盤のイメージで記した日本十二律の音名図
▼鍵盤のイメージで表した俗楽律(新律)の音名図
▼鍵盤のイメージで表した唐古律(古律)の音名図
参考文献
(『雅楽を知る辞典』遠藤徹 東京堂出版 2013)
(『雅楽』日本の古典芸能2 藝能史研究会 1981)