音階B(2種類のマイナースケール)


●導音の問題

前項までに見てきたナチュラル・マイナースケールですが、この音階をそのまま利用した場合、第7音が導音となっていません。より強い終止感を得るためには、このマイナースケールに何か手を講じる必要があります。




●ハーモニック・マイナースケール

そこで考え出された(発明された?)のが、ハーモニック・マイナースケール(和声的短音階)です。 このマイナースケールは、問題だった第7音を半音上げることによって、導音としました(ルート音からみて長7度)。 単純な解決法ではありますが、聴いてみると強い終止感を感じることができると思います。

▼ハーモニック・マイナースケール(和声的短音階)

Ex73




●メロディック・マイナースケール

さて、短音階はハーモニックマイナースケールの発明によって導音の問題(終止感を得さしめること)は解決した訳ですが、このことは、また新たな問題を生むこととなりました。 それは第6音と第7音の音程が、1音半開いてしまうことです。 これはどういったことでしょうか。

先ほどのハーモニック・マイナースケールの第6音と第7音の音程差に注目してください。第7音を半音上げたため、音程差は1音半、つまり短3度となってしまっています。 これに中世ヨーロッパの音楽家達は、違和感を感じたようです。

そこでもう一度、ハーモニック・マイナースケールを聴いてみて下さい。 確かに全音と半音が続いている中で、突然1音半も離れているので、ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・・・・シ??と歌いにくい(音程が録りにくい)ですね。 そこでこの歌いにくさを解決するために、より旋律的な短音階が考えだされたのが、メロディック・マイナースケール(旋律的短音階)なのです。

▼メロディック・マイナースケール(旋律的短音階)

Ex69




●マイナースケールのまとめ

これまでに3種類のマイナースケールを学んできました。では実際はどのマイナースケールが利用されているのでしょうか。 いくつかの改良が加えられたメロディックマイナースケールは、何やら完璧なマイナースケールに感じますが、実はこのスケールを冷静に見ると、メジャースケールと第3音以外は同じということが分かります。逆にいうと第3音が出てこなければ、メジャースケールなのかマイナースケールなのがが、解らないという欠点があるのです。

一般的には上昇ではメロディックマイナースケールを用いて、下降時はナチュラルマイナースケール、またはハーモニックマイナースケールを用いています。 けれども実際の音楽は、旋律の単純な上昇や下降ばかりではありません。上記の方法はあくまで基本スタイルとして、現実には作曲者や表現者の感性によってさまざまな使い方をされているのが、マイナースケールなのです。